超ミネラル水ショップ 読書ノート 真野俊樹著 「入門 医療経済学」 |
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入門医療経済学(「いのち」と効率の両立を求めて 真野俊樹著 238P はじめに 「いのち」に値段はつけられるか。 アメリカでは保険者未加入者患者が手遅れでなくなる。 日本でも、生体肝移植が高額なので、受けれる人とそうでない人がいる。 医療費抑制策は医療も経済と無縁でないことの証である。~「価値判断の転換を迫る~どのような基準、考え方で価値判断をするか」 本書は、経済学的手法で分析する著作が多い中で、倫理学、哲学、社会学との接点を強くもった種法で分析した。(「合理的経済人」を前提としていない。) 対象範囲~・希少資源である医療従事者 ・保険システム ・介護などの周辺分野 ・医療技術(薬剤、バイオテクノロジー、医療機器等) 第1章(Ⅰ)~経済学と医療の関係の概説 第2章(Ⅱ)~第4章(Ⅳ)~経済学の歴史を見ながら、医療経済学を概説。 第5章(Ⅴ)、第6章(Ⅵ)~日本の医療を経済学に分析 Ⅰ、医療経済学を理解するために 1、医療と経済学のすれ違い ①経済学と医学 経済学とは~「人々ないし社会が、いくつかの代替的用途を持つ希少性のある生産資源を使い、さまざまな商品を生産して、それらを現在および将来の消費の ~「代替的用途を持つ希少な諸手段と諸目的との関係としての人間行動を研究する手段」(ロビンス) 「動機、期待、心理学的不確実を扱う学問であると言ってもよかろう」(ケインズ) 医療経済学~「医療に関する人間の営み」を対象にした学問~「人間」を対象にする医療という行為を経済行為とみなし、それを学問として分析すること。 医学は学問であり、科学性を有する。その科学性とは、「ニュートン物理学」を基礎とする」~ここの限界をワイルは指摘する。量子力学を導入した医学を確立すべし。(松下) 社会医学~公衆衛生学、予防医学 ②経済学への批判 経済学~合理的経済人を前提とする 医学~方法論的個人主義を前提とする必要がない~「命と合理性は無関係である」 ③医療の何が経済行為なのか 「経済財」~市場で特定の価格で売買される財 「財」~人間の欲望を満たし、人間が処分、支配できるもの。 2、市場の失敗と医療 ①マクロ経済学とミクロ経済学 医療という個々の市場を分析するので、ミクロ経済学に属する。 ②市場とは何か~一つ一つの財の売手たちと買手たちの集まり。 ③市場の有利な点 「神の見えざる手」~アダムスミス ④需要と供給 医療費は公定価格であり、需要と供給均衡で価格は決定されていない。 ⑤市場の失敗 公共財、費用逓減産業、あるいはその財が、外部の不確実性や情報の非対称性を持つとき、分配のときなどに起こる。 ⑥公共財 私的財~排除性(対価を支払うことによって、その消費から他社を排除すること~公園に門を設けて入場料をとる。) 公共財~財の消費に当たって直接対価の受払いがなされず、従って市場機構を経由しないで需要供給がなされている場合がある。(経済学独自の定義) 医療~公的保険制度、多くの医師を要請~排除性と競合性をなくしようとした。 ⑦費用逓減産業~電力 ガス 水道 鉄道 ~複数の供給者がいない~いれば、効率が悪い。~生産規模の拡大によって、費用が減少する。 ~新規参入はコストが高いため、不可能 ⑧不完全な競争 限界費用~生産量をわずか増加させたときの、費用の増加分。 競争による無駄の発生より、独占を認める代わりに、政府の規制を認めた方がよい。 ⑨外部性~ある経済主体の行動が、あるいはその行為の決定に参加しない人々、またはその決定に同意しない人々になんらかの影響を与える場合がある。 ~市場の失敗。 ~外部経済~技術革新製品を使用する中間生産者 外部不経済~公害 感染症者が感染させる。タバコの間接喫煙 ⑩情報の非対称性と不確実性 医療では患者のみならず、医師も患者の病気に対して、不確実な情報しかもっていない~供給サイドの不確実性。 ⑪分配 資源分配~効率が問題 商品分配~公平が問題。 ⑫価値財~個人の私的選好に反映された価値にとってかわる社会的価値があり、政府には市民にそのような価値観を強制する権利と義務がある財。 ~国民健康保険制度 ⑬医療の場合 情報の非対称性 不確実性を持つ財~市場が失敗し、価格による資源配分に失敗 薬剤市場では償還価格=コスト+適正利潤 ⑭政府の失敗 ・政府政策の予測が困難な点 ・市場への影響が限定的な点 ・政治過程による制約 ・官僚制の非効率 ・従来のパターナリズム、福祉の視点に基づく厚生重視の大きな政府 ・新古典派経済学に代表される小さな政府(効率優先) ・両者の折衷 3、価格、独占と寡占理論と医療 ①経済学における価格~医療では価格均衡理論は成立しない。 ②買う感覚がない医療~皆保険制度が原因 ③命の沙汰も金次第 ④値段で価値を判断する。~価値のわかりにくい医療費において、 高価な医療ほどよい医療、とはなっていない。~公定価格だからである。 ⑤なぜ、よいものの値段が高くないのか。~医師は最善を尽くすが、そのことにより多くの利益(お金)を得ようとは考えない。 ⑥参入の制限~病院には参入障壁がある。株式会社は参入できない。 4、公平と効率 費用対効果分析 ①公平と効率 公平~資源から獲得されたものが、構成員に等しく分配されること。 効率~社会が希少な資源から得られるものを最大限獲得していること。(経済全体のパイの大きさについての基準) ②効率の視点 医師或いは医療従事者は予算制約を考えずに、最大限の効果を挙げることを目的としており、経済学での費用対効果の考えとは異なる。 日本の医療制度である公的な診療報酬制度は、医師や医療機関が医学的に見て最善の行為をすれば、適切な価格が支払われるという仕組みである。 また、黒字の医療機関でも費用に対する考え方の問題から、将来に対する投資費用が捻出できないといった問題点が現れ、同じく診療報酬制度への批判になっている。 ③効率性の面から評価する手段が必要 効率性を分析する手法~政策で価格が決定されるので、個別の薬剤や医療行為の効率性、すなわち、費用対効果は医療経済学には欠かせない。 ④費用効果分析~費用をかけて行った医療行為により生じる平均余命の伸び等を効果としてはかる方法。 ⑤費用効用分析~質を考慮した平均余命の伸び。 健康を1、失明を0.5と仮定する。健康状態X年数 ⑥費用最小化分析~同一の効果をもたらす最も安いものを分析する手法 ⑦費用便益分析~例えば、公共投資では社会的便益と社会的費用を比較する。 <例> 道路建設~便益~・節約時間 ・自動車の運用費用の節減 ・事故回避 ・既存道路の混雑軽減 ・新規に派生した交通から得られる便益 費用~建設費用 ・維持費用 ・料金徴収費用 医療の場合の便益~自発的支払額(患者が支払ってもよい最高額)とするが、正確ではないとの批判がある。 ⑧薬剤費用評価(薬剤経済学)~ ある薬剤を投与した場合に発生する費用と結果を明確にし、異なる治療プログラムを比較する。 ⑨マネジドケアの意思決定 アメリカでは医療費を抑えようと医療保険者が医療内容に介入している。~どんな医療を認めるか、この意思決定に使われるデータの重要な一つが薬剤経済学のデータである。 どのような診断、治療法を認めるか。~安全、有効性を重視し、費用対効果も重要な基準となる。(医療の費用対効用を考えると、必ず、個々に行き着く。日本のように、医師と患者の Ⅱ、医療経済学の経済学的基礎 1、経済学の重要な概念と医療 ①経済学の歴史 アダムスミスの経済学も、道徳、倫理との関係が強かった。 ②「合理的経済人」概念の登場~利己心の行動が結果的に全体の利益をもたらす ③アダムスミスと政治と医療 政府の役割~・防衛 ・司法 ・交通機関の維持 ・教育施設 ~今で言う「小さな政府」~アダムスミスの時代には医療は重視されていなかった。 ④J・B・セイの考え方 「供給はそれ自身の需要を創造する」~「セイの法則}~需要と供給が一致しないとき、価格が下がるので、需要が増え、需要と供給は一致する。 ⑤古典派経済学と新古典派経済学 古典派経済学~アダムスミス、リッカード~社会の生産物の生産と配分に注目~マクロ経済学 新古典派経済学~サミュエルソン~市場における交換過程、資源の再配分に注目。~ミクロ経済学 いずれも、小さな政府志向 「部分均衡論」~他の事情が等しければ、と言う条件で、対象を分析~医療では、患者の事情を無視して、医師の側のみ分析する。 ⑥市場主義と均衡概念 新古典派経済学~パレート効率性 需要と供給の均衡~価格、供給量、需要量の決定だけでなく、社会の調和、秩序の意味も含む。 貨幣を考慮しない。~功利的経済人は、市場からえら得られる情報のうち単なる価格の上下と言った貨幣の現象に惑わされない。~情報の非対称性がない、と想定。 ⑦不確実性の重視 ケインズ経済学~貨幣を重視する 将来が不安な為に貨幣で所有したがる。 不確実性が向上した場合は、貯蓄率が高まる~社会保障が不安定になる、と予想された場合は 健康は人類の究極の目的。 貨幣所持の欲求、社会的価値への欲求 、個人的欲求の比較で消費と貯蓄が決まる。 ⑧経済学は何を目的としているか。 ロビンズ「経済学の本質と意義」~「経済学とは代替的用途を持つ希少な諸手段と諸目手的との間の関係としての人間行為を研究する学問」 ④医療経済学のあり方 医療行為は価値判断を含む。 2、医療と厚生経済学、制度派経済学 ①実証経済学と規範経済学 実証経済学~価値判断を排除する経済学 規範経済学~価値判断を重視 厚生経済学~規範経済学の位置づけられる。 ②厚生経済学の誕生~アルフレッド・マーシャルの「目的論的な経済思想」の流れを汲んだアサー・ビグーによって創設された。 ③功利とは 「最大多数の最大幸福」~功利主義(ベンサム) ④厚生経済学の考え方。 ジョン・スチュワート・ミル~「人間独自(知性、感性、美徳)は肉体の快楽より高い価値がある。」 アマルティア・セン(1998年ノーベル経済学賞)~基礎教育、医療制度が人間の潜在力と生活の質とその向上に直接貢献する。 ピグー~自由競争によっては、社会的な資源の配分は行われない。~課税、補助金など積極的な政府の介入をとく。 ・厚生経済学は、社会を構成する各個人の効用の和 ・個人の効用の大きさは計測することが出来る。異なった個人の効用の比較は可能。(金持ちから貧乏人へ所得を移転する時、金持ちが失う効用より、 結論 ・貧者に帰する分配分が減少しないとすれば、総国民分配分の大きさの増加は、それが他のいかなる出来事とも関係なしに起こる限り、 ・比較的富裕な人々から、同じような性格の比較的貧乏な人々に所得の何らかの移転が行われるならば、比較的重要でない欲望を犠牲にして ⑤効用理論 経済学からの批判~・効用(満足度)の個人間比較の不可能性 ・効用の基数性に対する批判。効用は序数でしか現せない。 (何と自明のことか。松下。) ⑥費用対効果分析の根拠~「合理的経済人にいよる合理的選択」~無限の選択肢の中から自分の満足度をもっとも高めるものを瞬時に選択する能力を仮定している。 ⑦無差別曲線とパレート最適の考え方。 パレート最適~他の誰かが経済的福祉状態を悪化させることなしには、もはや何人の経済的福祉状態を改善できない状態にあること。(資源配分に無駄のない最適な経済福祉状態。 パレート非最適~他の効用水準を引き下げることなく、ある人の効用水準を引き上げることが可能な場合。~今日の厚生経済学の判断基準。 ここでは、所得分配平等といった強い価値判断を含む厚生の見地を切り離してしまった。そのため、ここで資源配分の効率性を確保する弱い価値判断(パレート最適化)しか ⑧新厚生経済学~「効用の個人間比較を前提としない厚生経済学」(ロビンス、ヒックス)~集合体の福祉の極大と言うべきパレートの最適化 サミュエルソン~経済学は経済学の外部より与えられる社会厚生関数に従って実行可能な最大の社会厚生を与える選択を追及することを目的とすべきだ。 アロー~いかなる厚生関数が研究に値するかは、やはり社会の価値判断である。~価値判断は経済学自身が決めるべき。~経済学から哲学、倫理学に移行した。 (サミュエルソンは正しいように思えるが、完全な客観的経済学はありえないように思える。根底的なレベルで、その経済学はそれを支持する人の人生観、世界観と言った価値判断が背景に秘められている。松下。) ⑨制度派経済学とは~制度を歴史的、文化的な産物とみなし、制度によって行動規範が変わる。~医療制度に特定した経済学ではないが、医療は制度であるので、 新古典派経済学~歴史的、風土的、制度的諸条件では、人間の性向嗜好は不変である。 ⑩制度学派の起こり。 ⑪新制度学派~制度を合理的経済人の諸制約として規定した。(新古典派経済学の仮定を受け入れながら制度の概念をその理論に導入した。) ⑫社会的共通資本 宇沢弘文~社会的共通資本と医療の関係。 ~社会的共通資本~自然環境、社会的インフラ、制度資本 ~医療制度は社会的共有資本であるべきである。 ~経済発展の段階に応じて、また社会意識の変化に伴って常に変化する。(生産と労働の社会的変化のみが倫理的、社会的、文化的諸条件を規定するマルクス主義を 歴史的、社会的、倫理的、文化的、自然的諸条件から独立したものとして最適な制度を求めようとする新古典派経済学を否定する。 ~官僚でも市場でもない、専門家が管理する。~「岩波学者」の典型~表層はそのように見えるが、実態は官僚か管理している。さらに、その背景となっているのは市場である。 1月⑩日ここから。Ⅲ医療経済とはなにか 1、経済学の新しい流れと医療 ①医療への応用 ②組織の経済学~主流派経済学は企業などの組織を重視しない。一方、組織を重視する経済学の一領域に産業組織論がある。 産業組織論~「産業構造」→「企業行動」→「産業の業績・成果」とみなす。(S-C-Pモデル) ③公共選択論~市場以外の経済学的研究 経済学の政治学への適用 市場以外の領域における「合理的経済人の発見」 新古典派経済学やケインズ経済学と制度経済学の相違~分配の公正とか個人の自由などの政策目的にかかわる価値基準をどう扱うかによって生じる。 各個人の目的、欲求が他者のそれらと矛盾する場合における調整方法は、政治的民主主義による調整と交換原理による調整がある。(西洋民主主義制度内のお話。松下。) ⑦ゲームの理論~1944年 フォンノイマンがモルゲンシュテルンの協力の下に完成させた経済学。~複数の合理的合理的意思決定による利得がそれぞれの戦略の ⑧囚人のジレンマ~各人が「最適な選択」をすることと、全体として「最適な選択」をすることが同時に達成できない。 ⑨行動経済学 「合理的経済行動」の仮説は虚構として退ける~人間の経済行動を心理学的側面から分析する一派。 「自信過剰バイアス」と「事故奉仕的貴族バイアス」 2、医療という特殊な「財」の性格について。 ①医療は特殊な財? ケネス・アロー~医療は人の基本的なニーズである。市場と言う資源配分手段より普遍的かつ古いものである。必要性と費用が予測できない。情報の非対称性。
②不可逆性を持つ医療~消費者にとって需要曲線を描きにくい。 ③私的財である医療 公共財の特質である・非排除異性 ・非競合性 ・外部性をもっていない。 ④手段財である医療 健康と言う目的を達成するための派生需要である。~医療は価値財である。 供給側が需要を創造できる。 ⑤情報の非対称性、不確実性が大きい。 ⑥医師誘発需要 医療行為を行えば行うほど、高くなる~出来高払い制~過剰検査、診察が可能(医師誘発需要) 医療は不確実性を伴うので、過剰診察の方が医師としては安心だ。 患者も過剰の方が安心だ。 支払い者(保険者)は過少の方を望む。 ⑦医療行為の選択動機 医療と他のサービスを区別するもの~・広告や医師同士の価格競争が禁止されている。 ・医師から与えられるアドヴァイスは自己利益によるものではない。 医師の満足は患者の満足に連動する。 ⑧医師誘発需要の実証研究 ⑨経済学的な説明 Ⅳ 医療と最新の経済学 1、医療情報の経済学 ①医療情報をめぐる環境変化 感染症が主だった時代には、消費者が間違った情報に操られるのを防ぐために、広告規制が必要だった。現在は、これらの介入が医療情報に必ずしも必要とはいえない。 ②インターネット利用の医療取引に対する意味 アメリカではネット情報の4割は医療情報。日本ではまだ少ない。 ③情報インフラの問題点 ネットワーク外部性が大きいが、 ジャンク情報も多い ④情報提供と市場 ⑤情報の監視機能の必要性。 ⑥情報量と質 ⑦監視機能の模索 主流派経済学~市場の監視を重んじる。市場管理が不可能の場合のみ、法的に管理する。 ⑧非対称性情報の経済学 ・診療情報 ・疾患治療法や薬剤などについての医学情報。 ・医療機関情報 ⑨情報の非対称性とレモン情報 ⑩医療機関情報 ⑪医療にレモン市場は当てはまるか~当てはまらない。医療においては、価格と医療の質はリンクされていない。 ⑫医療需要の場合。~価格と平均的な質の乖離 2、リスクの経済学 ①医療におけるリスクとは。 ②健康を失うリスク 人類の究極の目標~健康で長生き。 医薬品市場~6~7兆円 健康食品~1兆円で急増中 生活の不安定性が増している。 中流意識の崩壊。 ③信用を生み出している医療 医療制度は、社会システムとしては社会福祉制度の一環として市場の失敗を補い、また、経済学的にも信用を供与することによって、経済のメカニズムを補完している。 医療が個人の健康を回復させ、保険契約を成立しやすくする。 ④価格リスク 経営にとり最大のリスク~回避するために、メーカーによる流通支配によって、「定価」販売する。 医療価格は公定価格 ⑤商品サービスのリスク 医療リスクの特徴~損害の非可逆性 ⑥現場のリスク~医療従事者がこうむるリスク~医師が感染する ⑦確率論的リスク~安全装置つき医療機器~リスクマネジメントの問題 3、医療経済の考え方 ①医療に突きつけられた課題 「命を救う」ことが至上命題である、と言う従来の考えに加えて、金銭的制約が考慮されるようになってきた。~医療という財をどのように考えるか。価値判断が必要になった。 従来の医療の目標~患者利益の極大化、医療提供者の利益の極大化であったが、これに「医療費抑制」と言う予算制約が加わった。~無差別曲線で扱えなくなった。 公定価格~統制価格には必ず闇市場が発生する。 医師への「謝礼」は医療費総額の1%である約3200億円と推定された。(NPO法人 東京医科歯科大学 川渕孝一 2004年) 謝礼のタイミング~手術前、入院時が多い~謝礼、と言うより「お願い」あるいは賄賂の性格が強い。 効果がないので、今後渡さない、と答える人が多いので、市場機能が働き今後なくなって行く、と言う。~そのようなことはない。(松下) ②価格の影響の再確認 医療は公共財ではなく、私的財である。市場においては「ある財を必要としている人に与える。」のではなく「欲しかつ支払い能力がある人に与えられる。」 医療は「分配の公正感に反する帰結を生む。」 費用保障制度(医療保険制度)がない場合、医療でも価格の影響は大きい。市場メカニズムは効率的な的資源配分をもたらす。~戦後基本的人権にかかわる公正の観点から、 先進国で費用保障制度が導入された。~医療への金銭的アクセスの垣根を低くした。 ③介護保険における価格のメカニズム。 従来医療という枠にあったものを、そこから分離した。~介護は消費者が必要な消費量を決定できる。市場が機能する。 ④医療における保険外負担。
価格メカニズムは医師のモラルハザードを減少させる ①医師のみが予測できる場合~モラルハザードがおきる。 医師の権威喪失、患者が強くなった、ことから、②の割合が増えた。 価格によってサービス抑制が引き起こされた。 ⑤医療と医療経済学の方向性。 今後の病院経営については、急性期の疾患を中心とする病院経営は間違いなく現状より厳しくなる。 1997年233万床あるが、OECD諸国の比較から597500床でよいかもしれない。 病院、診療所、医師間の質的競争が激しくなる。 高齢者医療~高齢者保険制度問題、医療供給体制、薬価問題、診療報酬 が課題となる。 アメリカではGDPの14%が医療費であり、経済的に無視できなくなった。~経済学者が医療経済に関心を持つようになった。 Ⅴ、医療の仕組みを経済学で分析する。 1、社会保障の問題 ①混合経済と社会保障 ほとんどの国が混合経済~公的部門と民間部門のバランスが大切 ②政府の大きな再検討
支払い能力低下に対する構造的な歳出膨張~いまから、社会保障制度全体を持続可能なものにする、と言う考えが今の政府には強い。
社会保障に求められる前提~自助努力 ④国民医療費の問題
医療費の増加=(医療サービスの増加)X(医療技術の進歩による増加)X(技術の普及などによる増加) 国民医療費=当該年度内の医療機関等における傷病の治療に要する費用の合計 2000年度の医療費~30.3583兆円は前年度に比べて1.9%減少一人当たり23.9200円は2.1%減少、GDP費は7.98%は0.12ポイント減少 老人医療費は年率約8%増加している。(医療費全額30兆円のうち、11兆円を占める。)
⑥負担が増大?~2013年には60%を超える(財務省)~公的な給付の伸びを抑えるべき。
⑦国民負担率の問題点~分母の所得から直接税を控除していないので、日本のように直接税の比率が高い国は、負担率が低く算出される。 ⑧本質的な問題点~税の使い道~アメリカは間接税を社会保障に多く当てていない。 イギリスでは末期医療は無料。 ドイツでは長期医療は無料。これらは国民負担率の比較だけでは判らない。 ⑨企業の負担率は。 アメリカのマネジドケアは企業からの負担率の軽減要請によって始まった。 GMは組合員、退職者の医療費負担が重くなった。~2005年56億ドル(組合員、退職者に払った医療費。) ⑩日本での企業負担は
①技術進歩の視点~「人々は最新医療技術の恩恵に浴することを願う。しかし、経済がそれについて行かない。 医療技術の進歩に医療制度が追いついていない。 ②医療での「創造的破壊」 ③静的(短期的)な分析・対応にとどまる現在の医療改革。 マルサスの人口問題が実際に起こらなかったのは、技術的イノベーションがあったからだ。 抗生物質の開発は、感染症から生活習慣病に死亡原因を変えた。(生活習慣病の原因が抗生物質の開発にあるような言い回しだ。松下。) ④動的(長期的)変化への対応が求められている。 最近の動向~バイオ技術を使った創薬、診断、細胞を薬剤の代わりのように使う細胞医学、再生医療 など目覚しい。~実用化されていないが、イノベーションの可能性がある。 ⑤医療技術の進歩と医療費 戦後第一次医療技術革新(1940~50年代)~抗生物質、全身麻酔、~ビッグチケット~疾病減少→患者減少→医療費削減のサイクルが成立した。 1960年代生活習慣病 1970年代 診断技術の発展(治療技術の発展はなかった。~人工透析、心臓バイパス手術、脳動脈瘤の開頭手術等があったが。) 現在も第二次医療技術の範囲にとどまり、患者は中間段階の治療技術により寿命は伸びるが完治せず、加齢や寿命の壁にはばまれ、診断・治療費は効果の薄さもあって、 分子生物学の医学への導入で第三次医療技術革新が始まっている。~臓器移植、体外受精、遺伝子操作 ⑥技術進歩と医療費の増加
⑦医療技術の伝播~薬剤技術は早く伝播する。診断技術の伝播は遅い。もっとも遅いのは手術の技術である。経験豊かな医師ほど、新しい技術方法を取り入れるのが遅い。 ⑧「創造的な破壊」を受け入れる医療改革 産業界、医療界、医療サービス消費者のすべての効用が高くなる制度構築が必要。 厚生省、医師会の現在の主要な議論~混合診療 産業界では生命関連の学問を次世代の重要な学問としている。 ⑨技術と経済評価の視点~遺伝子治療は高額治療になる可能性が高い。 ⑩社会制度との関係~~公正性と効率性の関係をどうするか。 ⑪保険とイノベーション~医療保険の適用範囲が広くなると、医療費を増加させる技術進歩が起きやすくなる。~公的支払い保険料を抑制するため、高度医療は保健で認められない ⑫医師流出の危険 ⑬患者流出の可能性 3、医療と規制 ①医療における規制 公的規制~経済的規制(参入制限の代わりに、供給義務を課す。公定価格等)、社会的規制(安全を守るために質に一定の基準を設置。予防注射を義務付け。
医療圏の設定、基準病床数の算定。 ③競争と退出 「競争」とは他人が獲得しようとしているものを獲得しようと努める行為。(ハイエク) 患者を獲得する競争~価格をめぐる 患者が求める医療提供を競争する~質をめぐる。 ④混合診療の問題 禁止の目的~医療費の抑制 不正請求排除 特定療養費~特定の高度医療に混合医療を例外的に認める。
⑥医療法人~病院の61.3% 病床の50.2%が医療法人(民間非営利部門)が担っている。~1950年法制化~その非営利性が問題(経済学的には) 政府内検討事項(2004年)~公益性の高い医療サービス(休日診療、夜間診療等の救急医療、周産期医療を含む小児救急医療、僻地、離島医療、難病医療等) 4、医療の質 ①医療の質とは何か~・構造(建物、施設、人員配置) ・過程(診療プロセス等) ・アウトカム(成功率, 再入院率、院内感染率) 顧客満足度 ②医師の行動と顧客満足度 ③医療の質の評価の方法 5、政府と支払い方式 ①診療報酬の支払い方法 支払う側から見る~費用補填方式(サービスの多寡や内容に無関係)~予算配分方式(ドイツ、フランスでは病院ごとの予算配分方式)、人頭払い そうでない方式~出来高払い ~医師が費用を気にせず自由に治療できるメッリットがある ②マネジメントの側面から疾病を分類したDRG~ICD(国際疾病分類)により1万種類以上ある病名データを、人件費、医薬品費、医薬材料費等の医療資源の必要度によって 2003年 特定機能病院82病院にDPCを導入~1日当たりの疾患別定額払い 病気をコストによって分類した。 ③DRG展開~一般企業のQCと同じ目的で始まった。 ④DRGの導入で何が起こったか。~医療費が増加した。 DPC=基礎償還点数X診断郡分類別係数X医療機関別係数 基礎償還点数~患者一人当たり・1日当たり診療報酬の平均値 ⑤質の管理との両立 ⑥マネジメントのツールとしてのDPC~医療の質の管理が容易になる。 病院の内容、レベルが明確になる。病院間の比較が容易になる。 ⑦ベンチマーク~ベストに学ぶ。~経営業務において最も優れた実践方法あるいは比較対象を見つけて当該組織とのギャップを分析し、そのギャップを埋めるプロセス。 ⑧なぜ、いま、医療界でベンチマークか ⑨病院におけるDOC対策 Ⅵ、医療のプレーヤーとその行動~医療経済学の視点による分析 1、医療の受け手~患者 ①患者と医師 情報の非対称性~生活習慣病が多くなったので、情報の非対称性は少なくなった。 不確実性~治療の効果、診断の結果、過程は「不確実」ではなくなった。~長時間に及ぶので、患者がどう生きるか、が重要になった。 パターナリズム(家父長的権威主義)的価値観では対応できなくなった。 ②プリンシパル・エイジェント~依頼人が代理人に権限を委譲し、判断や取引を行わせる。~医師と患者との関係にも当てはまる ③エイジェンシー・コストの改善方法 ④医師から見た患者意識の変化 三分診療~満足はしなかったが、病気は治っている~効率的な医療かも 現実には患者の要求は多くなってきた。~医師のオーバーワーク問題がクローズアップしてきた。 ⑤共有地の悲劇 1968年 生物学者G・ハーディン「顧問図の悲劇」~各人が利潤の極大化を目指せば、共有地は枯渇して、共同体は危機に陥る。 医師は共有財産である(過疎地においては現実にそうである。) 2、医療の提供者 医療機関 ①医療の提供者 ②医療産業 ・生産集中度はきわめて低い。 ・参入障壁は高い ・医療の内部では差別化は低い。外部では高い。(内部~保険制度内) ③医療機関を取り巻く環境の変化 厚生省による護送船団方式でなくなった。病院数やベットは世界的に減少傾向にある。1992年スウェーデンでは、治療終了後5日以内に病院から地域コミュニケーションに移す。 病院数とベットが減少した。 スウェーデンでは、平均滞在日数~6.4日 一人当たり年間平均受信回数~2.9回 高齢者率~17.8% 平均寿命も日本よりやや低い程度。 日本では、それぞれ、28.3日、14.5回。異なるのは980万人、と人口が少ないこと。 ④組織分析の視点
大企業は経済的制度であると同時に統治的制度であり、社会制度である。 企業を中心とする産業界以外に、NPOを重視する。利潤は目的達成のための制約条件である。(ドラッカー) 医師の人事権は病院ではなく、大学医局にある。患者、病院の利益が2次的になることがある。評価は業績と連動していない~現在は医局の人事権は弱くなったといわれる。(松下) ⑤生産効率と消費効率。 医療においては、生産効率は市場で有効に機能するが、消費効率は市場で有効に機能しない。そればかりか、間違った配分をする場合がある。 土地、労働、貨幣は擬似商品である。 人の営みは、市場における交換だけでは満足できない。組織における経営管理は最低限尊守すべき社会の価値がある。 医師の行動は、利潤最大化、患者への関心、社会的な善行への関心によって動機付けられている。(アイゼンバーグ) 医療制度において、全世界的な市場はない。 ⑥IHN(Integrated Health Network~医療・保険・福祉複合体)~持ち株会社や親組織の下に、病院、開業医、在宅部門、保険会社が入っているもの。 日本では内部化が進んでいる。 3、お金の出し手:保険者 医療機関では効率的な戦略を考える必要性が出てきた。 ⑦企業内取引の優位性。 ⑧垂直統合と水平統合 垂直統合~急性期から慢性期、介護期まで、異な時系列の医療機関で行う。(IHN) 医療機関の場合、その規模は小さい。 優位な点~情報、技術が共有できる。~IT化などによって、将来消滅。 仕入れ購買力が強くなる。資金調達力が強くなる。医師の受け入れ力が強くなる。 水平統合~競争がないため効率が追求されない。異なる事業を行っているので、報酬の基準があいまいになる。 規模、範囲の経済の活用が企業内のみにとどまる。 ①医療における保険者の意味
職域保険と国民健康保険に分離。 保険者の機能~保険給付機能と保健事業に分かれている。収入の大半が保険収入であり、資質の大半が保険給付事業であるため、保健事業がおまけになっている。 保険者が保健事業を一次予防のみと位置づけるため、疾患に対する対策がなされない。(狭義の医療に対する知見が保険者にまったくない。) ②医療保険の歴史 1926年 健康保険法 ~診療報酬を政府が被保険者の頭数に応じて人頭割で医師会に払う。医師会が都道府県医師会を通して各医師に支払う。(現在のドイツに似ている。) 1938年 国民健康保険創設。 1939年 船員保険法。1940年 健康保険法に家族給付が導入された。 1947年 失業保険法創設。 1961年 国民皆保険制定。 1970年代 人口の高齢化、経済成長率の鈍化が始まる。~給付と負担の見直し、抑制の時代に入る。(1973年 老人医療費の無料化) 1984年 特定療養費制度 (混合診療を認める。~選定医療→アメニティー部分。 高度医療→医学の進歩を推進) 1983年 老人保健法 70歳以上は別保険制度を適用。 ③社会保障のあり方 ・普遍主義(貧困者にも同じ権利を付与)~規制緩和、雇用調整が進むと、セイフティーネットとしての社会保障は欠かせなくなった。(貧民救済の性格が弱い。) ・生活保障の性格が強い。 ・私的性格が強まった。 ・所得移転の性格や方向が多様である。 ・受益者と費用負担者がオバーラップする度合いが著しく大きい。 ・社会保障は高齢者や女性に働く場を与える。医療、介護産業等の産業育成政策と見ることが可能。そのためには、うまく市場機能を活用すべし。 ④社会保障の本質 保険とみること、所得の再配分とみることの、両方の視点が必要。 日本では、保険と税とがあいまいである。(ドイツでは区分されている)そのため、負担と給付の流れが不明瞭であること、制度がその場しのぎのつぎはぎとなっている。 公的保険~「社会的十分」が基準 民間保険~「私的公平:」が基準 ・社会保険に共通する特徴~①強制加入~保険事故以外に、高齢化、予防、リハビリについても給付される。) ②社会保険料の拠出が給付の用件になっている。 ・民間保険の特徴~①任意加入 ②個々の被保険者に固有の持分が存在する場合が少なくない。 ③給付反対給付の原則が貫徹。社会連帯、応能負担、扶助原理の要素はない。 ・医療保険と介護保険の相違~介護は「社会的十分」な量を規定することは出来ない。出来たとしても、費用の制約を受けるし、モラルハザードの発生の恐れがある。 ⑤モラルハザードと社会保険の今後。 介護保険~2000年の認定者218万人 2003年の認定者344万人 ~介護保険料の徴収額が増加した。そのため、厚生省は家事援助などの生活援助サービスを減少させようと 医療でも予防の考えが取り入れられようとしている。~根拠がある予防策には保険の適用が認められる。 保険者は、給付だけでなく、保健事業も大きな柱とすべき。 ⑥社会保障の今後~・透明性 ・予防 ・管理費の削減 ・生命と関係がない場合は、給付は抑制されるかも。・個人責任が増大。 4、仕組みの作り手:行政 ①行政組織の分析 ②行政の働き~厚生省の動機~・よい医療を提供 ・医療費の抑制 ・自らの権限の維持と拡大。
③行政の課題 ・診療報酬体系の改革の検討 ・その他 ④医療の値段はどこで決まるか。
歯科医師会をめぐる汚職事件から、社会保障審議会が厳密な方向を出して、 中医協の構成も、公益委員6名、支払い側委員、診療側委員各7名(診療側委員を減らし、 ⑥医師会などの業界団体 ⑦準市場~公的福祉サービスにおいて、競争原理を導入する。~複数のサービス提供者
「規制の有効性」~公平を確保 「競争の効率性」~効率を確保。=政府が模索している ⑧市場と公共政策 ⑨市場を生かす~競争促進政策 ⑩市場を制限する~公共等による公益、公共サービスの提供 ⑪市場を創る~介護保険、と言う形で介護費用を補償したら、1年間で4兆円の市場が生まれた。 ⑫シグナルとコミットメント
医療経済学が価値判断を含む規範経済学であることは、自明であるが、、医療が高度になったことは、お金で寿命が買える時代の到来を意味しますので、 益々その価値判断をどのようなものにするかは、その社会にとって重要になるでしょう。近年のお金万能、格差社会はますます、医療制度を市場原理に委ねようとする 傾向(圧力)が強まっています。一方、医療情報はインターネットの普及により安価に入手できます。また、主たる病気が感染症から生活習慣病にかわり、個人の情報収集と それに基づく果敢な生活習慣の改善への努力により、所有するお金の量以上に、個々人間の健康度合いの格差が生じてくるように思えます。 そのような意味で、代替医療や現代の正当医療と代替医療を統合した統合医療に関する情報を持っていることは、大変有益のことと思います。その中でも「超ミネラル水」 の力を知っていることは、今後の健康維持、或いは病気の治癒に計り知れない恩恵をもたらすものとと確信しています。 医療経済については、この1冊で終えようと考えていましたが、興味が湧いてきましたので、更に2.3冊呼んでみようと思います。 |
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