超ミネラル水ショップ   読書ノート   西村周三他 共著 「医療経済学の基礎理論と論点」                             

                 
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超ミネラル水ショップ   西村周三・田中滋・遠藤久夫 共著 「医療経済学の基礎理論と論点」  199P

刊行の言葉

医療費の増加、病院経営の悪化、医療不信、皆保険を維持できるか。~医療の質の引き上げ、医療の効率化を同時に達成するためにはどうするか?

医療経済学、医療政策研究が不可欠。~本書の目的~「医療経済・政策学」の確立。

はしがき

第一章~古典派経済学と制度派経済学の対比  貢献原則に基づいた所得分配を社会保障給付の基本である必要原則によって修正することの意味を

      社会の価値体系とからめて説く。価格に換わる経済制度の管理メカニズムとして専門規範の重要性が説かれる。

第二章~医療サービスの経済的特性~市場の失敗 医療アクセスの公正性にかかわる社会規範の重要性。不健康と所得が労働や生活を通じて相互に影響を
                                                                                    与えている可能性

第三章~医療保険の経済理論

第四章~「マクロ経済学と医療保障」~国民負担率をめぐる問題。~税と社会保険の負担と経済活力との関係~両社に関係はない

                        世代間の公平性については、損得論は意味なし。どれだけ豊かな生活を送れるか、が問題。

                      国民負担率を抑制し過ぎた場合に起こること。

第五章~「医療に需要曲線は存在するか」~「医師の誘発需要」

      「医学的需要モデル」

第六章~「医療における競争と規制」

第七章~「ソウ医療費水準の国際比較と決定因子をめぐる論点と実証主義」

      「一人当たり医療水準は一人当たり水準で9割程度説明され、高齢化等の医療ニーズは医療費決定要因として無視できる。」

第八章~「少子高齢化と医療費をめぐる論点と実証研究」

      「死亡者一人当たりの死亡前1年間の医療費は年齢の上昇とともに大幅に低下」

Ⅰ、医療経済学の潮流~新古典派医療経済学と制度派医療経済学(権丈善一)

はじめに、

新古典派経済学~消費者需要と言う考えを重視する。制度派経済学は医療ではなじまないとする。

1、市場を是とみなす論理構造

①混合経済の基本的機能

古典派経済学、新古典派経済学者が市場の長所を国造りに影響力のある人々に理解させるのに、計り知れない貢献をした。

市場に向かって大きくふれていた振り子を、再配分の方にほうに振り向けたのが社会保障であった。

市場の<貢献原則>から家計の必要に応じた<必要原則>に修正すること。

②強制的な公的医療保険制度の3つの再配分

P=wZ  P:保健数理的にフェアな保険料  w:リスク  Z:保険金

強制的公的医療保険

・保険的再配分 (疾病リスクが等しい者の間での)  ・垂直的再配分(高所得者から低所得者) ・リスク集団間再配分(健康な一般国民から病弱者へ)

2、福祉国家の動揺と新古典派経済学の賑わい

1970年代、福祉国家は、現代国家が政策目標の第一と考える成長、雇用を保証する機能を失いかけてきた。~新古典派経済学の再登場

③、市場原理における需要と供給の役割

なぜ経済学では均衡点Eを望ましい、とするか。「望ましさ」を経済学の嗜好枠組みの中で考える研究領域~厚生経済学

④、市場の望ましさと総余剰の関係~厚生経済学の第一定理と第二定理

経済学が考える市場の望ましさの根拠の相当部分は、社会的余剰と言う概念の中にある。社会的余剰とは、消費者余剰と生産者余剰との総和である。

消費者余剰~10万円で購入のつもりが、5万円で購入できたとき、その差額5万円を言う。2日目は4万円 3日目は3万円 ・・・。その総和

総余剰は市場均衡時に極大化される。

厚生経済学第一定理:競争的市場に任せておけば総余剰が極大化される。(効率的な資源配分がなされる。)

厚生経済学第二定理:初期の所得配分を変更すれば、その所得配分に応じた効率的資源配分を、市場が達成してくれる。

⑤、市場への介入とそこで発生する非効率~死荷重と再配分の必然的関係

効率と公平はトレイドオフ

2、社会経済政策と価値判断、そして政治的態度

、新古典派経済学の論理

70年代後半、財政事業が悪化。税、保険料の引き上げは府不可能。

死荷重が医療保険の普及によってどの程度大きくなったか、の研究が盛んになる。

1980年代 日本はアメリカから新古典派経済学に基づく医療経済学を輸入した。

古典派経済学の前提~社会は同質な個人からなる。(合理的経済人)。分析の対象を生産物市場とする。~公平の問題を捨象した。

②、制度派経済学の論理

経済に医療を適合させるのではなく、医療に経済を適合させるべき~ケインズ経済学信奉者。民主党、労働党。~制度派経済学を信奉。

根拠~・市場の失敗論~60年代の公害多発、公共経済論~古典派経済学の枠内で無理がある理論である。  

    ・権利論~宇沢の「社会的共通資本」

    ・医療誘発需要論~医療には需要はない。生産、需要で重要な役割を満たす価格以外のものを考える必要がある。

Ⅱ、医療サービスの経済的特性(遠藤久夫)

はじめに

医療サービス~市場の失敗、「医療アクセスの公平」と言う社会規範

望ましい医療システムの構築と言う視点を欠いて、単に医療サービスの特性を論じても無意味。

医療サービスの需要特性、医療サービスの供給特性、医療サービスの供給に関する社会規範について。

1、医療サービスの需要特性

・需要の不確実性  ・情報の非対称性と外部性 医療保険は新たなモラルハザードを引き起こす。

①需要の不確実性~・傷病の発生時期に関する不確実性  ・医療費に関する不確実性

②情報の非対称性

非対称性の低下~・インフォームドコンセントの推進 ・セカンドオピニオンの推進  ・医療情報の開示  ・広告の自由化 ・医療機関と医師に対する第三者評価

医師が患者の便益を最優先に考えて医療選択を行うインセンティブの構築~・患者のフリーアクセスの確保 ・出来高払いの医療報酬 
                                               ・非営利的制約(配当の禁止、持分放棄を意味するが、完全ではない。)

③外部性の存在(ある経済主体の行動が周囲の経済主体に対しても便益を与えること。)~例えば感染症の予防や治療

医療保険により個人負担を軽減させる。 更に、C型肝炎ウイルス抗体検査 エイズ検査に公的補助がある理由

④モラルハザードと価格弾力性

保健により自己負担が少なくなることから被保険者が価格弾力性に応じて医療需要を増すと言う合理的な需要行動のこと。

医療保険におけるモラルハザードの分析とは需要の価格弾力性の分析を意味する。

・モラルハザードと厚生損失~医療サービスの価格弾力性の分析は、医療保険の自己負担率の引き上げに伴う医療費抑制効果を検証する目的で行われることが

                                                                                              多い

                 しかし、自己負担引き上げによる需要抑制が社会的に望ましいか否かは十分吟味しなければならない。

                 保健による患者自己負担の引き下げは、患者に過剰の医療サービスを需要させる。

・価格弾力性と自己負担率

価格弾力性の少ない医療サービスは代替手段が少なく必要性が高いので、このサービスの自己負担率を相対的に小さくすることは医療のアクセスの公平の観点から

支持できる。~フランスでは診療所外来の自己負担率は病院入院より高い。重要薬の自己負担率は低い。

日本でも、軽薬の自己負担率を上げるべき、との議論があるが、プライマリーケアーの充実が国民医療費にどのような影響があるかを研究し、その観点から議論
                                                                                           すべし。

高額療養費制度はこの観点から制度化された。(フランスにはない制度である)

・医療提供者サイドのモラルハザード(医師誘発需要)

    需要の決定権は医師にある理由~・医療知識の偏在 ・医師と患者間の交渉力の格差  ・時として緊急性が高い  ・需要の価格弾力性が低い。

   一人当たりの医師数、病院数が高くなれば、医師誘発需要は増える。医師誘発需要は医療供給体制の拡充が医療費を増加させることにつながる為、
   医学部定員抑制や地域医療計画の根拠となる。

   医療密度の増加~・患者が医療にアクセスしやすくなる効果も生む。 ・増加医療は必ずしも無意味なものとは限らない。~より具体的に内容に踏み込んで
                                                                                   研究されるべきである。

2、医療サービスの供給特性

①生産と消費の同時性

②標準化されにくい

③高い労働投入率~・ 高い損益分岐点率(損益分岐点/売上高) 98.2%

             ・ 需給調整に時間がかかる。

3、規模の経済性、範囲の経済性、経験曲線効果

①規模の経済性~・病床数に応じて必要な医療従事者数が決められている。 ・標準化が困難 ・各科、医師の裁量権が大きい

            病院の規模が大きいと、患者の重症度が大きくなるため、規模が大きいとコストが高くなる。

             アメリカで株式会社病院の資本統合が80年代に進んだ。~資金調達、保険会社との交渉力が増した。

②範囲の経済性(複数の財、サービスを提供する方が単一のそれらを提供する場合よりコストが低下する。)~医療の場合、明確なメリットはない。

③経験曲線効果~経験により改善されて生産コストが下がること。

医療では、コスト削減より、経験が医療の質を高めることが重要である。

虚血性疾患 開胸手術 脳卒中開頭手術 がん 手術後90日死亡率と施設の手術件数には負の相関関係がある。(2003年  長谷川)

平成14年 手術件数基準が定められた~一定件数以下の手術の場合は診療報酬が低い。~手術施設の集中により、習熟効果を期待している。
                                                        ~患者のアクセスの不公平を生んだので、H16年に改定された。
                                                       ~H17年、6学会がこの件について実証研究を行い、相関関係は
                                                        否定され、この制度は廃止された。

4、医療技術の特性

①効果の不確実性とプリンシパル(委任者)・エージェント(代理人)問題

医療の不確実性は医療報酬制度を複雑にしている。

②医療技術と医療保険制度

新技術に高い公定価格を設定することは、その普及に貢献する(人工透析、CTスキャンは政策的に高い公定価格が設定されて普及した)。

なぜなら、医療報酬が出来高払いだから。

80年代~改良型医薬に高い公定価格が設定されて、それが普及した

90年代~検査料の公定価格が引き下げられ、そこから撤退したメーカーも現れた。

③医療技術の評価の問題

医療技術の評価は市場にゆだねることは出来ない。なぜなら、情報の非対称性が大きいから。 公定価格は公的機関が決めるから。

「費用ー効果分析」はほとんど行われていない。<例>延命年数

3、社会的規範としての医療アクセスの公平性

医療の絶対平等主義~健康と命は平等であるべき。 早期治療による医療資源消費の効率化 感染症等外部性を持つ疾病対策からも指示される。

①地理的アクセスの公平性

1970年代の医学部増設で医師数の格差は縮まった。

問題点 ・僻地医療の存在~「票欠」病院(設備基準に達しない病院)、 無医村地域が存在する。

      ・医療水準を考慮した医療供給体制の格差は大きい。

② 経済的なアクセスの公平性

所得水準と医療需要とは負の相関関係がある。従って、医療需要の高い人に医療サービスを提供すべきだ。

A、所得と医療需要

a、ライフサイクルの特性~高齢者は医療需要が高いが、退職などにより所得は低い。

b、不健康と所得の相互作用~15~59歳の病気にかかりづらい世代をみても、負の相関関係がある。

                   不健康な人は高収入を得られる機会が少ない。高所得者は健康に対する関心が高く、お金も投入できる。

B、公的医療保険と医療アクセスの公平~私的保健は任意加入であり、公平性に寄与しない。

                          公的保健は高所得者からの所得移転である。(「負の相関関係」があるため)

Ⅲ、医療保険の経済理論

社会保険制度としての医療保険

私的、民間保健としての医療保険

1、民間医療保険の理論

1)理論発展の背景

「不確実性と医療の厚生経済学」(1963年、K・アロー)論文により、医療経済学が認知される。

近代経済学~計画性に対する批判 「見えざる手」の可能性の研究。市場メカニズムの計画経済に対する優位性。~その限界も研究対象となった。

アロー~「不確実性と不完全情報の経済学」~公的医療保険の必要性を説く。

計画経済の幻想性の根拠~政府が個々人の欲求を把握する為の情報収集にコストがかかる。市場は個々人の欲求と言う情報を他の組織に伝えることなく、直接市場で商品を購入できる。

日本では、医療は公定価格であるが、国民はその価格以上を払っても高額な医療を求めることも多くある。

民主主義的な政治決定による医療が公平を保障しない理由~医療は不確実なので、最適な医療は何かにかに関して、国民的コンセンサスが得られない。
                                    ~健康な人の方が多いが、彼らは病人にお金を払う意思は弱い。

⇒「保健」の必要性

2)民間医療保険の限界とそれが与える示唆

「確実性」「完全情報」を前提に市場は機能する。そうでない場合を補う方法として「保険」がある。

不確実性に対する保障を政府に任せると、利権が発生すること、財政投融資が過大になること、によりその欠陥が露呈した。~民営化へのうごき

しかし、全て民営化することの弊害もある。~被保険者を区別するのに費用がかかる。(喫煙者と非喫煙者を区別する。) 先天的非健康者を排除することになり、
                          社会保険として機能しない。

公的保険は競争原理が働かず、弊害もある~社会保険庁の不祥事

2、社会保険の経済分析。

(1)社会保障と社会保険

1)社会保障の範囲

ILOの社会保障の基準~.①制度の目的が,次のリスクやニーズのいずれかに対する給付を提供するものであること,
                  a、高齢,b、遺族,c、障害,d、労働災害,e、保健医療,e、家族,f、失業,g、住宅,h、生活保護その他.          

                 ②制度が法律によって定められ,それによって特定の権利が付与され,あるいは公的,準公的,もしくは独立の機関によって責任が
                   課せられるものであること.
                 ③制度が法律によって定められ,それによって特定の権利が付与され,あるいは公的,準公的,もしくは独立の機関によって管理され
                  ていること.
 日本では、社会保険制度,家族手当制度,公務員に対する特別制度,公衆衛生サービス,公的扶助,社会福祉制度,戦争犠牲者に対する給付などである. 
 金額ベースでは,これらの構成は,2000年現在,「高齢」が全体の47.1%で1位であり,保健医療が32.8%で2位となっている.

2)日本の社会保障費の推移

近年デフレ下にも拘らず、増加。その原因は高齢化。あわせて、家族構成の変化。高齢者の一人世代が増えている。高齢者の受信率が高くなる。

3)社会保障の財源

日本は社会保険料と税を財源としている。イギリス、北欧は税、フランス、ドイツなど大陸ヨーロッパは社会保険料を財源としている。アメリカは民間保険。

税の課税ベースと保険の賦課ベースはかなり異なるので、折衷型の日本では個人や世帯間の負担にせよ、医療の為の負担にせよ、世代間の公平さにせよ、

かなり複雑で判りにくい。

4)日本の社会保障制度の政治的意思決定過程

小泉内閣の「三方一両損」~ボーナスに対し保険料を賦課(保険料の引き上げ)。医療費抑制、自己負担の引き上げ。

5)社会保障の事業主負担

社会保障は企業の福利厚生として発展してきたので、ILOが国際機関となっている。

社会保障費を負担しているのは、誰か、を経済学的に明らかにする。~①消費者 ②労働者 ③株主→これを言うことはあまり意味がない。(松下)

3、高齢化と医療保険

(1)高齢化と所得配分

高齢化の進んだ国では世代間の再所得の配分、と言う問題を避けることは出来ない。

社会保障制度は一定期間変更してはならない。(国民はその需給を前提に、将来の生活設計をたてる。)従って、将来の負担の公平性を予測しなければならない。

 高齢者の社会保障給付額~総額で伸びているが、一人当たりの額の伸びでも一人当たりの国民所得の伸びをはるかに上回っている。しかし、高齢者は不安に思っている。その理由は、加齢とともに資産で見た貧富の格差が拡大する、と言う現実を踏まえたものになっていないこと、金銭的な格差だけでなく、健康、身体能力の格差が拡大するからである。                           

高齢者と全世帯の格差の違い~高齢者では100~200万円と言う貧困層が多い。全世帯では100~500万円と貧困層から中の下の層までに分布している。扶養家族の有無、身体的労働能力の相違によるものだろう。 資産では3000万円以上が際立って多い。これは、富が富を有無こと、一定以上の社会的地位は加速度的に富をつかんでいることの証ではないか。例えば、官僚の<渡り>による退職金。土地の値上がり。(以上 松下記)

一人暮らしの高齢者の増加。(300万人から3000万人)  3世代高齢者の割合は、50%から26.5%に減少  (1980~2000年)

所得の向上が、核家族化を促進した。都市化が進み、農村には高齢者が残された。また、年でも親子の居住分離が進んでいる。

このことは、一人当たりの生活費の向上をもたらした。介護費、医療費の増加をもたらした。

社会保障費の増加にも拘わらず、生活の苦しい高齢者世帯が増加している。一方で資産を多く持っている高齢者も多くなった。~2極分解(松下)

この資産は消費されることはなく、子に相続される。このことは子の自立心を育てない。~フリーター、引きこもり

相続税を強化し、これを社会保障の財源とし、一方で子の自立心を促すことを考えるべき。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              

(2)医療と経済の関係

対GDP費14%~アメリカでは医療部門の従事者は全産業の14%を占めることを意味する。

           生産にあまり寄与するとは思えない医療部門が、この程度(14%)占めても、経済が低迷することはないことを意味する。(昨今の状況を考えると、
                                                                                そうとも言い切れない。松下)

政府と保険者が医療費を抑制しようとする理由~①サービスが有効に提供されているか疑問だから。②効率性の追求。公的医療が独占で非効率になりやすいから。

遺伝子工学の発展に伴う医療技術の進歩は、産業として重視されるようになった。

Ⅳ、マクロ経済と医療費用保障

1、国民負担率:数値の把握~国民負担率の意味について考える。

政府は対国民所得率を使用。2003年で36%

2、問題提起

国民負担率は曖昧な概念である。

①「個人ないし家計のかとくから強制的に徴収される割合」をさすかのように解釈される。

②常に「負担率が低い方が経済に活力があり、反対に高くなれば人々の生活が苦しくなる」ことが論じられるケース

③本来は別な軸である政府規制の強弱を国民負担率の大小と重ねて論じられるケース

等が見られる。

政府に期待した公共サービスと負担の相対的関係、および公共サービス生産の効率性の観点から評価されるべきだ。


3、負担率と経済力

(1)負担率の高い国は経済力が低いか?

「負担率が高いと労働意欲が低下し、活力が弱まるか?」

高負担の北欧の国の一人当たりのGDPは20年以上も日本より高い。

国際競争力も2002年に日本が30位に低下したか、ノルウエー17位、スウェーデン6位、フィンランド2位であった。

「税金は保育、教育、介護等のサービスのわずかな自己負担で利用するための原質である。」と言う意識にもとめられる。子の場合労働意欲の低下は問題にならない。

(2)負担率の低い国は経済活力が高いか?

「失業給付が高いと働かなくなる」~この事態は起こりうるが、日本のようにその金額が少ない場合は、起こらない。

高齢消費社会を担う労働力の確保の観点~低負担率政策をとると、勤労世代が看病、介護のために会社を辞めるかもしれない。

医療、介護のサービス提供者の範囲と規模の経済性や、経験をつむ事で得られる技術力、技術革新の活用機会が奪われえる。

4、負担の公平

(1)誰がどれだけ負担しているか

「国民負担率が75%を超えるスウェーデンでは、収入の三分の四も政府に取られる」は誤り。~マクロの国民負担率と勤労者が実際に納める税、社会保険料
                                                         負担率の間には大きな差がある。(36~37%~実際には実収入
                                                         の10%後半が大半)

議論すべき大切なことは、マクロの国民負担率より以下のことである。

①働く世代の手元に経済成長の成果を何割残せるか。
②医療給付が高齢者に偏りすぎていないか。
③自己責任を伴う生活習慣病に対する予防管理と医療費保障を如何に工夫するか
④少子化社会にも拘らず、児童への各種給付が少なすぎないか。
⑤年金給付水準をどう考えるか

※ワイルが言うように、医療経済を弄繰り回しても解決にならない。現代医療そのものを変革しなければならない。(松下)

(2)世代間の公平

「過去の世代は収めた金額に対し、受け取る給付額が多い」のは不公平か?

「現在の現役世代は経済復興成果を教授している事などから、単純に世代間における本人の負担した保険料総額と年金受注総額とを比較することは適切ではない。」
(1996年度経済白書)~過去の世代が築いたストックの恩恵を現在の世代は受けている。

公的年金は私的負担を社会化したものである。

5、国民負担率の帰趨に関する検討

(1)この点について国民負担率が上がりすぎた場合に起こりうる事態。

「国民負担率が上がりすぎた」「過度の上昇を放置した」場合に起こりうる事態。

①政府活動の非効率是正への阻害要因になるのではないか:国民負担率上昇を安易に容認すると,政府活動に対する予算制約が弱まり,公共セクターの効率性
 にかかおるチェックが行き届かなくなる可能性がある.
②限界効果の低い対象への政府支出が温存されるのではないか:同じく予算制約が厳しくない場合,限界効果の低い対象に対する切り込みが不足し,
 効果の乏しい支出が温存されかねない.
③補助金依存体質・補助金を得るための活動が助長されるのではないか:予算配分に対する行政府の裁量権が大きい日本では,予算配分をめぐる陳
 情的な活動を助長させてしまう.
④勤労意欲低下・労働供給抑制,脱税・節税などにつながらないか:失業給付の給付水準が高くなりすぎると,労働に対する意欲が失われ,公的給
  付に依存しようというイソセソティブが働きやすくなる.また,給付が受給者と経済のためにならないと考える人々の一部に対し,大きな負担を免
  れようとして節税・脱税的な行為への誘惑を感じさせるかもしれない.
⑤経済の空洞化を促進しないか:企業負担が過度に上昇すると,負担を回避しようとする企業の海外移転を誘発する可能性がある.
⑥市場セクターに回るべき資源が不足しないか:公的負担は資源配分と所分配の2つの側面にかかおる.強制的資源配分の側面について言えば,
 資源を公共部門,および医療や介護などの準市場部門に配分する仕組みである.したがって,負担割合の上昇は,少なくとも一時的には経済の中で
 一般の市場セクターに回る資源が少なくなる効果をもつ.

(2)国民負担率を抑制しすぎた場合に起こりうる事態。

 1)公共セクター運営の効率化:まず公的セクター運営の効率化が図られるかもしれない.ただしこれは言うまでもなく,国民負担率問題にかかわら
                    ず実行されるべき課題である.   
 2)公共財生産や社会保障給付水準の抑制  
  ① 公共財生産の水準抑制:政府が担当する公共投資,あるいは初中等教育と基礎研究・廃棄物処理等の環境整備などの公共サービス水準が抑制
    される可能性がある.何より,バリアフリー型社会の建設が遅れれば,介護サービスが人的資源に依存する度合いが高くなるばかりか,そもそ
    も高齢者・障害者の自立と尊厳という大切な目的を実現できない.
  ② 社会保障給付抑制:社会保障給付水準の低下や給付対象者,対象サービスの縮小を通じ,高齢者・患者・障害者,そして介護者のQOLに直
    接の影響を及ぼすだろう.
 3)国民負担率に含まれない財源へのシフト:税・社会保障負担に低い水準でキャップがかけられると,家計内の無償サービスをはじめ,国民負担率
  には現れない財源に負担がシフトされる.第3節ですでに触れているものもあるが,それも含めた一覧を示す.
  ① 公共サービス・医療・介護・教育などの利用時強制徴収増:不足額を利用者からの強制負担,たとえば患者による窓口負担や国公立学校の授業料増など
    各種費用負担に置き換える方向が考えられる.予算縮小による公立校の機能低下が起きれば,私立校を選択する家計が増えるかもしれない.
  ② 家計・企業が負担する直接費用・機会費用の増大と労働供給抑制:公的給付が削減されれば,家計が類似サービスを直接生産するケースも増大するだろう.
    この場合,サービス生産に伴う規模の経済性が失われ,資源配分の効率性が低下する可能性が大きい.介護や育児がその典型である.規模の問題のみ
    ならず,経験を積んだ専門家による生産性の高さに比べ,家計内生産の効率が低い点も忘れてはならない.もう1つの悪影響として,労働供給抑制につな
    がりかねない点もあげられる.
  ③ 一般政府債務残高増大と経常収支の赤字化:国民負担率に公債による歳入を含めない場合,国民負担率が数値目標化する一方,相対的に重要
    度の低い費目の歳出削減が進展しないと,財源確保の手段として公債への依存を高める選択を取らざるをえなくなる15.公債への依存は政府
    債務の増大を意味する。その結果利払いの増加から財政の硬直化が避けられないばかりか,それに見合う貯蓄率の上昇がなければ,利子率の上
    昇を通じて民間投資を減少させてしまう.さらに経常収支の悪化を招く恐れもある.

6、国民負担率は社会のあり方を表す。

国民負担率と経済活力の因果関係はない。

社会保障の給付の削減が行政の効率化や規制緩和の一環であるような主張は議論のすり替えである。

成果の配分をめぐる政府の介入は、公正感にかかわる当該社会の価値観を理由とする。

市場経済競争や国家間競争が厳しければ、それに対する補完装置も強化しなければならない。厳しい競争経済に立ち向かえるように、医療保険制度をはじめとする
社会保障制度の役割をしかりと認識すべし。

受療や老後にの資質に対する不安ゆえに、各自が蓄えに励み、社会が貯蓄過剰になり、消費が抑制されるなら、マクロ経済の業績にかかわる問題である。

Ⅴ、医療需要曲線と医師誘発需要をめぐって

はじめに、

経済学における需要曲線の分析には、2つの意味がこめられている。
「規範的経済学」~この需要曲線に基づいて、個人や社会の幸せを測定し、それに基づいて政策論を展開する。
「実証的経済学」~社会的価値の評価のためでではなく、たとえば、患者の自己負担率を引き上げるとどの程度医療費が抑制されるか、と言った問題を分析する。

規範的経済学で、新古典派経済学が需要曲線をどのように扱ったか、。その分析手法と限界。

実証的経済学で、価格と所得だけをパラメーターとする需要分析の問題点。他に、どのようなパラメーターがあるか。~①疾病の自覚②医学知識
                                                                       ③医療機関への利便性

医師誘発需要仮説について。

(1)伝統的な需要曲線の意味

パレート最適~消費に関して、すなわち同じだけの資源を投入して、より多くの消費が出来る余地があるとき

生産の効率性が満たされている~生産に関して、同じだけの資源を投入して、より多くの生産が出来る余地のあるとき

豊かな人が健康で、病気がちの人が貧しい場合は、健康な人に比べて、病気がちの人の消費者余剰が小さくなる。それは貧しい人の方が、所得の制約ゆえに、
全体として、いろいろなものに消費できる量が少ないからである。

「人々は、本当に選択の自由が与えられたとき、自らの効用の最大化をしているだろうか?」(ライス)
①人々は自分の厚生(効用)を、自分でもっとも適切に判断できるか?
②消費者は、自らの消費の決定に当たって、十分な情報を持っているか?
③消費者は、自らの消費決定の帰結について、よく知りえているか?
④個々人は合理的といえるか?
~医療サービスは市場原理に委ねることは出来ない。
~過度に強調することは、パターナリスティックな介入を招く。(社会主義)
~市場か非市場か、の2社択一ではなく、個別具体的政策において、ケースバイケース で使い分けること。~例~病院の選択は、日本において全く自由である。

(2)医療受信意思決定モデル

1、医療における不確実性と情報の非対称性.

q: 医療総需要  p: 自己負担額 y: 所得 θ: その他の要因のベクトル

q =f ( p, y: θ)  

2、医療需要の特徴

3、医学的医療モデル

医療需要の決定要因~①自覚症状  ②治癒期待・治癒必要性認識  ③重篤疾病不安

Y=(自覚症状、治療期待・必要認識、重篤疾病不安)~医学的医療需要モデル

(3)医師誘発需要をめぐって

Ⅵ、医療における競争と規制

はじめに

(1)医療における規制のタイプと根拠

政府が介入する場合~市場が機能していない場合。所得分配政策の必要性がある場合。~医療はこの二つとも当てはまる。

1、医療費支払いに関する規制と根拠

①公的医療保険制度(強制加入と公定価格)

強制加入の根拠~不確実性への対処だけなら、任意保険でも良いが、アクセスへの公正性が、強制保険の根拠となる。(社会的規範)

            任意保険ではリスクに応じた保険料を設定しなければ、保険財政を維持できないので、医療需要の大きな人ほど高い保険料が課せられる。

            一般に医療需要の高い人ほど、所得が低い。~医療アクセスの公正性を保てない。

            強制保険はリスクと無関係に保険料を設定できる。保険料は応能主義の視点から、所得に応じて保険料が設定される。~医療アクセスの
                                                                                     公正性を保てる。
                                                                                           

            多くの国民が医療アクセス可能なため感染症の蔓延を防げる。また、初期段階で医療にアクセスでき安いので、治癒が早い。
                                                               ~このことは、医療費の抑制にもつながる。

公定価格化の根拠~医療機関には費用を抑えるインセンティヴはなく、また、患者は自己負担が抑えられている為価格弾力性が小さい為、衣料の価格を
下げる圧力は働かない。このような元では、医療のインプットの実勢価格は高止まりする。(かって、ある医療材料を医療機関の購入価格としたところ、
                                                                                高止まりとなった。)

医療機関への支払いを公定価格とすることにより、価格引下げ圧力が働き、市場価格に近づくと考えられる。

②混合医診療の廃止。~保険診療と自由診療の併用を禁止する。

  特定療養費~一定の条件内で混合診療を認める。~差額ベット代、200床以上の病院における紹介なしの初診料、予約に基づく診療、
                                  患者都合による時間外診療、高度先端医療の提供、200床以上の病院における再診
                                  180日超入院患者yへの特定療養費の給付、薬事法承認後であって保険収載前の医薬品の投与。

  その根拠~患者は保険対象外の不必要な医療サービスを受ける可能性を低める為。

2、医療供給体制bに関する規制

①、免許制度

②、医療機関の設置基準~医療の質を担保するには、その経過、結果を評価すべきだが、現実は難しい為、設備を規制することにより、それを期待している。
  (現実の基準は戦後すぐのに作られたもので、現在の社会ニーズ及び医療実態との乖離が大きい。このような専門書はこのような建前論が多い。松下。)

③、医薬品・医療機器の承認精度

④病床規制

人口一人当たりの病床数と一人当たりの医療費に相関関係があるため、医療費適正化の視点から、病床数を適正な水準に保つ必要がある。
新規開院する人が、少ない地域で開院するようになるから、アクセスの公平の観点から望ましい。

⑤医療機関の非営利制約。~利益配当の禁止。株式会社参入禁止。

情報の非対称性。公的価格の為価格が硬直している。~市場原理が機能しない。(効率的な資源配分を期待できない。)

⑥広告規制

3、規制が生み出す非効率。

経済的規制~参入者の視覚と数、生産量の規制、混合医療禁止~緩和すべき、とい声がある。

社会的規制~免許制、設置基準、認証制度~緩和すべき、というい声はない。

①混合診療禁止がもたらす非効率性~診療報酬の価格設定が不完全であることから、生ずる。

  ・公定価格がコストを反映していない。~医薬品、特定保健医療材、外注費以外のコストを把握していない。
                          初診料、再診料などの医療サービス料のコストを把握していない。
                          一医療機関が全体として赤字にならないよう配慮されているが、現実には格差があり、赤字の医療機関も多い

  ・技術向上のインセンティヴの欠如~公的価格体系、支払い方法が技術向上のインセンティヴになっていない。(病気の種類に関係なく初診料、再診料は一定、
                                                                     医師の経験、技量と無関係に診療報酬は一定。)

  ・保険収載までのタイムラグ~混合診療禁止が新技術を阻害している。

②病床規制がもたらす非効率性。~参入障壁であり、貢献していない医療機関を温存させる。

③広告規制

④営利病院参入規制~資本市場からの資本調達が出来ない。顧客重視の経営が出来ない。

(2)「見える手」vs「見えざる手」

1、医療の市場原理シフト

①消費者主催の確立~患者自身の意思を反映させる~情報の開示~情報の非対称性解消、保険を患者の代理人にする。(医師との交渉力を高める。)

               広告規制緩和、医療機関への評価、インフォームドコンセント

②価格メカニズムの導入

③ 競争の促進~病床規制撤廃、営利経営を認める

2、情報開示の進展

①広告規制緩和

②診療情報の開示~インフォームドコンセント(努力から義務化へ)、丁寧な説明には金がかかる。報酬を認めるべきだ、という圧力もある。

             カルテ開示~1999年医師会は原則として患者本人に開示する方針を出した。2003年厚生省も類似の指針を出した。

                     法制化には反対したが、個人情報保護法の成立により、開示義務を負うこととなった。

③対三者評価

日本医療機能評価機構。(有料)認定病院2006年、1794病院(全病院の2割)

2002年、「緩和ケアー病棟入院化」「新設緩和ケアー診療加算」「外来化学療法加算」の診療報酬を受ける為には、日本医療機能評価機構の評価が必要

広告規制緩和により、同機構の評価を広告できるようになった。

3、保険者機能の強化論と課題

①保険者による直接契約

両者の個別、直接契約は1957年の厚生省保険局通知により禁止された。

これを認めることにより、保険者の医療機関に対する交渉力強化を図る。

2003年保険局長名で、一定の条件付で、一部認められるようになった。(・被保険者の契約医療機関以外の診察を妨げない。・契約医療機関は当該被保険者
を優先的に扱わない。・契約医療機関は診療科目を減らさない。・契約医療機関への受信を誘引する契約を認めない。・現行の診療報酬点数票の範囲外の物に
に関する個別契約を認めない。・被保険者の平等を害する契約を認めない。・一部負担金のみのを減額する、といった保険療担規則に反する契約を認めない。

~現時点では医療界に大きな変化は認められない。

②直接契約の課題~・取引コストの上昇。・公正性への危惧。・医療の質の評価

4、混合診療の解禁とその課題

①低所得者の医療へのアクセスビリティーの低下~新技術が保険収載される誘引を低下させるので、必需性が高く選択の余地が少ないサービスが自由診療として
                               提供される可能性が高い。~自己負担額が多くなる~管理された混合診療が良い

②医療技術のチェック機能の低下。

新しい医療技術が保険収載される場合は、薬剤のように専門家による評価システムはない。直接保険収載プロセスに入る。自由診療ではこのプロセスがないため、混合診療が解禁されると、新しい技術へのチェック機能が低下する。

③診療報酬設計の改善による問題解決

④特定療養費の拡大による対応と今後の課題。

混合医療を前面解禁するのではなく、特定療養費として個別に検討する。

5、病床規制の撤廃とその課題。

病床規制は全の増加を規制するのには効果があったが、地域間格差解消には効果がなかった。

6、営利病院の参入の課題

①ヨーロッパの営利病院は小規模。~顧客思考、資本市場からの資本調達は発揮されない。

②アメリカの営利病院の費用対効果は高くない。

・明確な医療の質の違いは認められない。・営利病院の医療コストは非営利病院のそれより低くはない。・利益率は営利企業のほうが高い。
・営利企業は非営利企業よりクリームスキミング(良い取り。)敵行動が見られる。(不採算部門削除、低所得者への入院抑制、好立地での開院。)

③資金調達上の不公平

営利病院を振興している国はない。

Ⅶ、総医療費水準の国際比較と決定因子をめぐる論点と実証研究。

・一人当たりの医療費水準は一人当たりの所得によって90%説明される。(高齢化のような医療ニーズは無視できる。)

日本の医療費はOECD中では、10%低い。

(1)医療費の国際比較分析に理論的基礎を与えたNewhouseの研究。

①豊かな国ほど、キュアよりケアが多い。ケアーは価格弾力性が1より大きい。~謝意財。

医療費が低いと健康指数が低いとは限らない。

(2)Newhouseに続くマクロ医療費分析の2つの流れ。

1、経済環境と医療政策。

なぜ、医療費水準はは所得によってきまられるか。~医療費は個人間の売買ではなく、グループでプールされた売買、より包括的には社会全体のでプールされ
                                た売買である。国内で利用される医療費総額の予算制約は、州、市、家計の所得ではなく、総国民所得と
                                 なる。個人の医療費を見れば医療費ニーズが最も重要な要素である。しかし、医療ニーズが決定する
                                には、個人間への分配のみであり、どれだけの額を医療費として利用するかと言う問題ではない。

現在の所得の増加率ではなく、過去数年の平均増加率によって決められるのか。~医療制度に関する一連の意思決定は、政府、医療専門職者、使用者、
                                                  国民のある種の暗黙的長期契約である。国民医療費をどの程度にすべきかと
                                                  言う計画は、現在の収入に関する期待に基づいてなされる。しかし、実際の
                                                  医療費は予期せぬ事情の為、計画値から乖離する。一方、個人の行動、組織、
                                                  財政メカニズム、政策は惰性的であり、意思決定がなされる時期と、すぉ個で
                                                  決定した意思が国民医療費に爾与える時期との間にはタイムラグが生ずる。
                                                  医療費は、数年間に渡るGDP成長率の遅延関数となる。

高齢化と医療費のプラスの相関関係は、一人当たりの所得の増加や他の変数の変化を真の原因とする、見せ掛けの相関に過ぎない。

医療費の増加は、人口構造の問題ではなく、政治的、行政的な問題である。

高齢化は公共が左右できない問題、必需性ゆえに生じていると受け止められる。そのため、医療費の高騰は、本来責任を取るべき、政治家、政策決定者は
責められなくなる。

2、公共選択と医療政策

残り10%の問題であり、常識的な結論となる。

(3)医療政策の普遍性と特殊性~日本の医療費は高いのか、低いのか。

1、標準医療費方程式の推計と日本の政策スタンス。

アメリカ、カナダは所得から予測される医療費より、実際の医療費は多い。日本、イギリスは少ない。

2、医療政策フィールドのなかでの各国の位置。

アメリカ~公費負担率が低く、公が医療費をコントロールできないので、野放図に医療費が高騰している。

日本は医療費は低く抑えられている。しかし、病床数を抑えることが出来なかった。

Ⅷ、少子高齢化と医療費をめぐる論点と実証研究

はじめに、

介護保険制度の導入後の焦点~余剰病床の医療保険から介護保険への転換による社会的入院の是正。・医療と介護のトータルのコントロールや負担の仕組み

日本の問題点~過剰な病床、地域格差、医療の質の保証の欠如、病院と意思の機能未分化、診療報酬点数票における誤ったインセンティブ、患者側のモラル
          欠如医療機関の側の日価格競争による悪循環。

          ①エビデンスに基づいた医療サービスの提供、と言った思考が希薄。また、その為のデータ、研究が不足している。
          ②、全ての医療関係者の意見が意思決定にバランスよく反映されていない。
          ③患者の権利が十分に反映されていない。

1980年代のヨーロッパ~医療費抑制。1990年代~医療資源の効率性、患者の選択の拡大と制度の利用者に対する感度向上。プライマリーケアと2次・3次
医療との間のバランス向上、などに関心が移った。

1997年WHO~①国と市場の役割の再定義②分権の推進③患者の権利向上④公衆衛生の役割を見直す。

(1)年齢と傷病・医療費

1、年齢と受療率 morbidity~病気にかかっていること、死亡率、罹患率

2、年齢と死亡率

3、年齢と医療費

(2)高齢者の医療費

老人医療費は年齢はの単純な増加関数ではない。人口一人当たり医療費は85歳~89歳がペーク

入院は90~94歳がピーク 外来は75~79歳がピーク。

2、医療と介護

入院率は加齢とともに高くなるが、長期入院率は変化は少ない。

2000年の介護保険制度の導入により、高齢者一人当たりの医療費は低下傾向にある。

4、死亡者と生存者の対比

寿命の延びとともに、疾病の短縮化が起きている。

(3)医療費の地域差

1、地域差の現状

都道府県差は1.8倍 年齢調整後でも1.5倍

医療費病床数とも西高東低。入院医療費と病床数は相関関係にある。

低医療費県長野は、死亡率も低い。~医療費と平均寿命は関係ない。

2、地域差の要因

医療技術の進歩、医療技術の普及、医療ニーズ及び需要の増加、市場の失敗gた考えられるが。

地域差は患者、医療提供者の行動に起因している。情報の非対称性から考えると、医療提供者の行動の差が原因と考えられる。薬を多用する。競争が激しい地域。

規模が大きい施設ほど高い。

3、正しいインセンティブの付与

(4)高齢化と医療費:国際比較の視点から

1、日本の医療システムの評価

入院日数が長い理由は、日本では医療の機能分化が進んでいないからだ。

2、日本の医療費が低い理由

・投入マンパワーが少ない、・サービス供給システムが効率的、・運営コストが低い、・患者がガンマンしている、・高価な手術、薬等の使用制限、・訴訟が少ない、

入院日数が長い。入院率は低いので、少ない人が長く入院している。外来者も多い。(アクセスが良い。)

65歳以上の一人当たりの医療費の占める割合は、日本は4,9倍、と最も高い。(高齢者の長期入院)

<コメント>

多少専門的で理解できないこともあった。医療を完全に市場に委ねることは明らかに間違いであるが、完全な統制も然りであり、あめりかを除く多くの国が

両者を国情に合わせてミックスして制度化している。

高齢化と医療費との関係はない、(newhouse)、と言うb研究結果を肯定して紹介しているが、一方で第八章で府川は両者を関係付けて論じている。

どうも理解できない。

経済の悪化と高齢化、所得の伸び悩みは、いずれにしても医療費の高騰を生み、財政を悪化させる要因と見做される。「現代病はミネラル不足が原因」と言うことが
明らかになり、更には、代替医療が統合医療へと発展するると、医療費は大幅に少なくなる。医療制度ではなく、医学そのものを疑え、と言うワイルの主張が、認め
られなければならない。超ミネラル水はそのような雄大な思考と運動の一部を担うべきだ。

                        

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